初めての人事評価者が大切にするべきこと(期初面談)

株式会社キャリアリテラシーの野嵜です。

はじめて評価者になった方に向けて大切なポイントをお伝えします。

今回は3回目になりますがテーマは「期初面談」です。

2回目の前回は「部下理解」ということで

  1. 「部下の職位・等級を知る」評価制度での部下の位置づけを確認する
  2. 「部下の今のレベルを知る」部下のスタート地点を理解する
  3. 「部下の今後の目標を知る」部下の目指していることを理解する

の3つを評価者の大切なこととしてお伝えしましたが、それを形として確認するのが「期初面談」になります。

それでは評価者としてどのように「期初面談」を実施するのかをお伝えします。

期初面談の目的を理解していないと面談の意味がない

もちろん期初面談の目的は上記に記載通り

  1. 「部下の職位・等級を知る」評価制度での部下の位置づけを確認する
  2. 「部下の今のレベルを知る」部下のスタート地点を理解する
  3. 「部下の今後の目標を知る」部下の目指していることを理解する

以上の確認が必要で特に現状確認や今後の目標などは重要な確認項目になるでしょう。

ただ、期初面談を実施する目的はそれだけが理由ではありません。

部下を理解するだけではなく、

4つ目の目的として

会社の方針や上司の考えも伝えるのが期初面談の重要な目的になります。

もちろん会社や部署方針は上司として自身のチームメンバー全員にミーティング等で伝えているとか思いますが、それを期初面談時に部下ひとりひとりに対して期待値や特性を考えて伝える必要があります。

最後に5つ目の期初面談の目的として

部下の意欲や反応を理解するため

が挙げられますが、これが面談をする最大の目的になります。

「部下の理解のために聴く」

「部下に対して会社の方針や自分の考えを伝える」

上記2点は面談の中身を充実させるためには重要な目的ではありますが、やはり面談という1対1での特性を考えると部下のその場の「反応」「表情」「目線」などをしっかりと注意し、業務に対する「意欲」を理解する意識が上司には必要です。

そして、その反応、表情、目線などの意欲を無視(スルー)するのではなく、しっかりと『拾う』ことが大切です。

良い意欲、悪い意欲、どちらにしても反応を拾って、

上司として評価者として部下に対して「関心がある」ことを伝えましょう。

それが期初面談をする一番の目的になります。

期初面談を実施するにあたり準備することは何か

それでは期初面談をするうえで必要な準備を記述します。

  1. 面談の時間を作る
  2. 会社、部署の方針を用意する
  3. 方針に対する部下の役割を決めておく
  4. 部下の今期の人事考課表を用意する
  5. 上司としての部下支援内容を決めておく

以上になります。

まず、基本的なこととして、

1.面談の時間を作る

ことは確実に実施しましょう。

意外と多い事例は、

「あ~、今、ちょっと時間が空いたから面談でもしようか」

という面談時間の取り方です。

これは部下にとっては、自分の面談が非常に軽く見られている。

という意識になりますので、面談時間は30分程度で良いので、事前に計画して部下に伝えておきましょう。

そして、事前準備で一番大切で難しいのは、

5.上司としての部下支援内容を決めておく

です。

これは用意するのとしないのとでは、部下の反応や今後の業務の意欲が大きく変わってきます。

前提としては、イマドキの

「教えて欲しい」

「一緒に考えて欲しい」

「困った時は助けて欲しい」

系統の部下を想定していますが、一般的にも部下支援は上司の重要な業務になります。

もちろん部下にとって上司が自分の業務に関心を持って、さらに支援案まで考えてくれているのは、大きな喜びと意欲につながりますので、是非部下に対する支援策を事前に準備しておきましょう。

期初面談では何をどんな順番で伝えるのかが大切

最後に期初面談の流れを記述します。

  1. 面談の目的を伝えます
  2. 会社と部署の方針を伝えます
  3. 部下の現状の課題と今後の目標を確認します
  4. 部下に対する役割と期待(目標)を伝えます
  5. 人事考課表を渡し、支援できる内容を伝えます

このように書くと「伝えます」という表現が多いですね。

人事評価の後半に実施するフィードバック面談では部下の話をじっくりと「聴く」ことが重要になります。

ただし、期初面談は評価者である上司が主導権を取って面談を進めていくことが必要になります。

この中で大切なことは

3.部下の現状の課題と今後の目標を確認します

4.部下に対する役割と期待(目標)を伝えます

順番を守る。ということです。

反対に

4.部下に対する役割と期待(目標)を伝えます

から

3.部下の現状の課題と今後の目標を確認します

順番にしてしまうと、

4.役割や目標といった上司からの「指示」ありきになります。

そのため

3.の部下としての課題や目標を「形だけ聴く」ことになってしまいます。

ですから、順番としては

3.部下の現状の課題と今後の目標

をじっくりと聴いたうえで

4.部下に対する役割と期待(目標)

を丁寧に伝えます。

ここで問題になるのが、

3.部下の現状の課題と今後の目標

の話の内容によって

4.部下に対する役割と期待(目標)

の伝える内容を変える必要があるのか・・・

と言うと、原則としては変える必要はありません。

それを変えてしまうと他のメンバーとの役割変更等が発生し、組織として成り立たなくなるからです。

ですから、

4.部下に対する役割と期待(目標)の内容は変える必要はありませんが・・・

「伝え方」は変える必要があります。

簡単に言えば、

3.部下の現状の課題と今後の目標の内容

で発せられた部下からの「言葉」を活かして、

4.部下に対する役割と期待(目標)を伝える

ことが大切になります。

部下としては自分の気持ちを上司に汲み取ってもらった上での役割や目標であれば納得はできます。

上司としては、部下の話の一言一句を大切に聴き、特に部下から繰り返して発せられる「言葉」があればそれを汲み取ったうえで、部下に対して役割や期待(目標)を伝えていただければと思います。

ただし、

日本の上司は残念ながら

「部下からの意見」

「自分の意見」

切り離して面談することが多いです。

これでは面談の意味はありません。

メールで済む内容です。

メールではなく面談である理由は、

「部下の反応をふまえて自分の意見を伝える」

になります。

ですから、これからの上司にはそれが出来るスキルが必要になります。

そんなスキルは難しいイメージがありますが、簡単にできる方法をお伝えします。

  • 部下の話をメモを取る
  • メモを取った内容を、自分の意見を伝える際に付け加える

以上の2点です。

特に前述した「部下から何度も発する言葉」をしっかりとメモして反映しましょう。

これができれば部下の面談の満足度のみならず、業務に対する意欲も十分にあがります。

是非、一度試してみてください。

あらためて期初面談は、今後の業務の取り組みに大きな影響がありますので、事前準備をしっかりとして丁寧に実施しましょう

今回の期初面談の内容は以上です。

この記事を書いた人

野嵜 晃弘

大学卒業後、入社した小売業で店長など現場の経験を積み、総務部へ異動後は、評価制度のみならず労務制度、育成制度、福利厚生など人事制度全般を大幅に見直し、社員の定着率向上を実現した。独立後は人事制度コンサルタントとして、制度構築から評価者研修、運用定着まで一気通貫をモットーに4年間で30社以上の評価制度に携わる。運用まで辿り着かず途中で頓挫することがある評価制度において、制度構築および運用100%を実現。またキャリアコンサルタント資格を活かしたフィードバック面談支援や制度運用を通じて人事社員の育成を得意領域としている。

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